経鼻経管栄養から経口摂食へ

コレクトウェルの使い方

80代男性、脳梗塞で別院入院当時は、むせながら食事をしていました。その後コロナ罹患し、経鼻経管栄養となり退院しました。退院しましたが、娘さん二人は「お父さんに口から食べてもらいたい」との強い希望を持ち、6か月間の経管栄養後に、開発者の勤務病院に外来受診されました。

来院受信当時のVF所見
食材の咽頭腔への垂れ込み、右側喉頭蓋谷への貯留。右側披裂軟骨を超えた喉頭侵入、誤嚥が認められました。食材は右側から左側の梨状窩に貯留し、嚥下運動で食道に流れました。右側咽頭収縮不全、右側披裂軟骨挙上不全による中咽頭誤嚥と診断しました。右不全麻痺(画像1立位姿勢、頭部の傾きをご覧ください)があり、舌と右側軟口蓋の動きは低下していました。

画像1 立位姿勢

嚥下訓練およびVF検査
間接訓練よりコレクトウェル(以下CW)の併用を開始しました。
CWでも喉頭侵入が防止できなかった(VF画像1)ため、VFの嚥下動態を精査したところ、脳梗塞の後遺症で、頚椎が右側に少々湾曲していることが影響していることが分かりました (画像1)。頭位を補正する必要を感じため、CWの右側を持ち上げ、顔の向きを右方に回旋していただきました。直接訓練において直ちに同ポジションを取れるように、首の曲げ角など注意してCWを調節しました。さらに本姿勢を安定的に保持できるように、タスキ掛けをしていただきました(画像2、画像3)。

画像2

画像3

以上の対応により患者様は三次元の頸部姿勢を容易に再現できるようになりました。
その後、CWを装着しての直接訓練が進展しました(VF画像2,3,4)。

VF画像2

VF画像3

VF画像4

お二人の娘さんは、外来受診時には訓練の模様を動画で撮影し、自宅では御父上にCWを装着してもらい、姿勢を再現して外来での訓練を再現していました。
当院のリハ担当者は月一回の受信時にはいつも、嚥下状態の改善具合に驚嘆していました。経口摂食開始後の顔色がよくなり、3か月後の外来受診で、ペースト食からソフト食への移行が検討され、娘さんは今後もCWを利用して父上の経口摂食を進めていきたいと意欲満々でした。

リハビリテーション科スタッフとご家族、訪問ST様と、三者が共同で進めた今回のリハビリテーション治療でした。
患者様にとって嚥下に最適なポジションがご自身では保持困難な嚥下姿位である場合も、CWと他の補助手段(今回はタスキ掛け)を併用することで、最適姿位での直接嚥下訓練を可能にし、有用性が示された症例のご紹介です。

御父上の現在:好物の刺身も刻んで召し上がっておられます。

監修 上田恵介(医師)

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